第3回 初陣の刻:領土を求めて剣を抜く【血と婚姻の系譜】

血と婚姻の系譜:ハプスブルク家の野望

💠 **シリーズ一覧:「血と婚姻の系譜:ハプスブルク家の野望」**  
[第1回 序章:帝国の夢はアールガウから始まる]

[第2回 血縁と忠誠:政略婚が導く同盟網]

[第3回 初陣の刻:領土を求めて剣を抜く]

[第4回 公爵の座へ――トランスユラニア支配を賭けて] (準備中)


🔸 前回の振り返り

政略婚を通じて、ハプスブルク家はバーベンベルク家・ツェーリンゲン家という二大勢力との同盟を締結。
小国アールガウはその存在感を帝国内に示し、孤立から脱した。次の目標は――領土の拡張。

平和の礎は築かれた。だが、覇者たる者は剣を取らねばならぬ。


🔸 宣戦布告:義兄弟との断絶、ベルン伯領を狙え

ヴェルナーは慎重に周辺国を分析し、隣接する「ベルン伯領」に目をつけた。そこを治めるのは、なんと妹の夫にあたるウルリヒ・フォン・レンツブルク。血縁の義兄弟であっても、帝国の野望の前には容赦はない。

アールガウ属司教ユルゲンに命じて曖昧な請求権の根拠を捏造させること20か月──ついに戦の口実が整う。

  • 標的: ベルン伯領(レンツブルク家/義兄弟)

  • 戦争理由: 曖昧な請求権による征服戦争(偽造)

  • 敵勢力: ベルン軍 487 + 同盟国シュトラースブルク軍 377 計864人

  • 味方勢力: ハプスブルク軍 418+バーベンベルク家(オーストリア軍)2926+途中参戦のケルテン公国軍 1275 計4619人

🔥 戦の号砲:リュセルヌの敗北と再起

開戦後、ヴェルナーは自ら軍を率いてリュセルヌで敵軍と交戦するも、同盟軍の到着が間に合わず、初陣は敗北に終わった。

この戦で、アールガウの宰相ゲプハルトが戦死。密偵エギノも敵軍に捕らえられ、捕虜となってしまった。

さらに同盟国ツェーリンゲン家の当主ベルトルトが戦争中に病没。だが跡を継いだケルテン公ヘルマンは一時的に援軍を派遣したものの、戦後に同盟は解消された。

ただし、娘イーダの婚約相手であるゲプハルト・フォン・ツェーリンゲン(クライン公爵)はケルテンから独立し同盟関係を新たに結んだ。

ヴェルナーは軍を一時撤退させ、首都ビールにてバーベンベルク軍と合流。


🔸 包囲戦と勝利:ベルン陥落

連携した同盟軍は体勢を立て直し、7か月にも及ぶベルン包囲戦を展開。要塞を徹底的に封鎖し、ついに城門を打ち破る。

「たとえ義兄弟であろうと、我が道を阻む者に情けは無用だ」

長期戦の末、和平交渉によりベルン伯領はハプスブルク家の版図に加わることとなった。


🔸 初陣の成果と余波

  • 獲得領土: ベルン伯領(地続きの戦略要衝)

  • 国力増加: 収入・兵力・支配地の拡張

  • 犠牲: 宰相ゲプハルトの戦死、密偵頭エギノの捕虜化

  • 外交動向: 

    • オーストリア辺境伯とは引き続き同盟関係

    • ケルテン公爵との同盟は戦後解消されたが、イーダの婚約者であるゲプハルト・フォン・ツェーリンゲン(現クライン公爵)との同盟は継続中

初の本格戦争は多くの犠牲を伴ったが、同盟の力と冷徹な判断により勝利を掴んだ。これは“狡猾なる一族”としての真の第一歩である。


🔸 今後の展望

次回:「帝国の階段――トランスユラニアの冠を目指して」
新たな領土を手にした今、次に見据えるのは“公爵”の地位。
トランスユラニアの地を掌握し、公爵の冠を戴く時が近づいている。

※トランスユラニア(現在のスイス東部地域) 

**次回を読む:**  

第4回 公爵の座へ――トランスユラニア支配を賭けて (準備中)